慶 讃 文

 謹しみ敬って真言教主大日如来、両部界会(かいえ)諸尊聖衆(しょうじゅ)、殊に別 (わ) いては当山御本尊馬頭観世音菩薩の御宝前に申して白(もう)さく。
 夫(そ)れ惟(おもん)みれば、松尾寺は今を去る千三百年前和銅元年唐僧威光上人来(きた)って此処青葉山に霊威を感得して開山せられたり。時に元明天皇の勅願を恭(かたじけの)うし更に下っては平安の代に鳥羽天皇の行幸ありと伝う。
 加之遠(しかのみならず)く千年の往昔(むかし)、西国三十三観音霊場札所と定められて多数の巡礼者を迎うに至れり。
 然り而して今日(こんにち)吉辰をトして 宝物殿を完成し、当地唯一の国宝普賢延命像をはじめ重要文化財の数々を開陳することとなれり。
 惟(おも)うに人の身は一代にして仏画仏像は幾世代を超ゆ。更に仏法の淵(えん)源は二千有五百年に及ぶ。法あって仏像あり、法に則 って仏画あり。我等が先人の彫心鏤骨(るこつ)の絵画或いは彫刻は今人(きんじん)に訴うるもの浅からず、永遠(とわ)の歴史に耐え以て時空を超えて我等を仏界に導き給う。
 而も併せて本年は西国霊場総 開帳の仏縁あり。当山も開山千三百年を期して夙(つと)に七十七年ぶりの開帳を心して今日の慶事を迎う。
 噫々仏縁浅からず、然れば往昔の活火山青葉の山に信心の炎噴き出て赫尖(かくえき)として衆人を誘(いざな)う。
 依而、千三百年の勝縁、七十七年目の法縁に連なり。その観観音力の弥益(いやま)さんことを只管(ひたすら)祈願し奉る。
 冀(こいねがわ)くは、青葉の山に鎮(しず)まります本尊馬頭観世音菩薩、その比類なき威徳力を以て衆生を外護(げご)照艦したまわらんことを

  乃至法界平等利益
 維時(このとき)平成二十年戊子(つちのえね)十月一日
  護持法主 長老心空敬白(うやまってもうす)



山田京都府知事来山(修理成った仁王像前にて)


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